都市再開発プロジェクト「天神ビッグバン」が進む福岡市中央区天神エリア。
長く親しまれてきた商業施設やオフィスビルが次々と建て替えに入り、街がまるごと変身しつつあります。
2026年までにいくつもの高級ホテルや複合ビルが誕生する予定で、買い物や食事、散策など天神の楽しみ方も大きく変わりそうです。
その天神の中心部、福岡天神センタービルに事務所を置く不動産会社「エースコーポレーション」が今回ご紹介する会社。
不動産業というと難しい仕事のイメージですが、こちらはお客様とのつながりを大切にする不動産管理をメインとしているため、親しみやすい雰囲気が特徴です。
2022年12月末、同ビルの建て替え工事に伴い、新オフィスへと移転するのを機に、一般事務、営業事務、リフォームの3職種で社員を募集します。
業界では珍しい日曜定休+シフト制でフレキシブルに働く
天神交差点から歩いて3分ほど、明治通りと昭和通りの両方に面する福岡天神センタービル3階のオフィスを訪ねた。
西鉄電車、地下鉄、バス、どの通勤手段にしても便利さはこの上ない立地。
12月末に昭和通りを挟んで斜め向かいのリクルート天神ビルへ移転するものの、アクセスのよさは変わらない。
引っ越し作業が慌ただしく進む中、代表取締役社長の角田(つのだ)さん、財務部の水落(みずおち)さん、営業管理部の朏(みかづき)さんの3名にお話を聞いた。
角田さんが今回、「福岡じょしごと」での求人募集を考えたのは、同社で初めて産休を取得する女性社員が出たためだという。
角田さんの右腕として財務部で働き、チーフとして女性社員全体をまとめる役割も果たしてきた女性。
「これまで結婚や出産で辞めていく人が多く、とても残念に思っていました。産後はぜひ戻ってきてもらって、子育てを最優先に、仕事と両立してもらえる会社にしたい。そのために女性が働きやすい環境を整えてきました」
実際のところ、働きやすさについて女性社員はどう感じているのだろうか。
「女性が多いし、残業はないし、服装もデニム以外であればOKです。髪色やネイルも派手なものを除けば自由。女性には働きやすい会社だと思いますよ。仕事は一人ひとり集中してやりますが、雰囲気が堅くないので自分には合っています」
「社長と距離が近いのも魅力ですね。誰にもフレンドリーな方なので、自分の業務のこともですが、社内の雰囲気づくりやさまざまな改善についても相談しやすいです」
そう話すのは、産休中の女性と同じ財務部で働く入社5年目の水落さん。
「みんな自主的に仕事を進めているので、残業することが仮にあってもやらされている感はありません。それから、年上の方でも敬語で話しかけてくださるなど、一人ひとりを尊重する雰囲気があって、私にはその距離感がとても心地よく感じます」
と話すのは、一流ホテルのパティシエから転職した入社4年目の朏さん。
不動産業界としては珍しいことに、同社では日曜日を完全休みとし、それ以外の曜日をシフト制としている。土曜日や祝日に出る頻度も基本的に自由。平日のみ勤務についても相談に応じるという。
一人ひとりが生活スタイルに合わせてシフトを決めているそうで、短時間勤務も以前から取り入れている。
「日曜日以外はシフト制なので、自由に連休を組めたり、シフトが決まった後でも変更できたり、とてもフレキシブルに働けるので助かっています。私がいま担当している経理は別として、他の業務についてはどの社員もオールマイティで代わりに作業できます。おかげで休みも取りやすいです」
と水落さん。
「以前は定休日がなく完全シフト制だったのですが、やっぱりみんな土日に休みたいですよね。そうなると、どうしても人が少ない日が週末に集中してしまっていたのですが、今は日曜定休なのでそれもなくなりました」
「それから、出勤している全員がめちゃくちゃ業務に追われているということがないので、早退する人が出ても他の人がフォローできます。オールマイティに仕事を経験するという点では、私も以前、入退居時の確認作業などでよく現地に行っていました。ずっと内勤ではなく、たまに外出できるのは気分転換になります(笑)」と朏さん。
急な遅刻や早退にも配慮
代わってフォローする体制も
現在、子育て中のパート社員もいる同社。急な子どもの発熱などで、遅刻や早退、急な休みを取らないといけない場面もあるだろう。
そのあたり、独身の女性社員はどう感じるのだろうか。
「その点はまったく心配いりません。子どもさんの体調不良時などは、こちらから配慮して帰っていただくようにしています。今も、私や朏さんは自分のペースで残業することがありますが、それに引きずられることなく、“きりのよいところで上がってください”と声をかけています」
と水落さん。
また、近々結婚を控える水落さんは、東京への転居が決まっているが、リモートワークで仕事を続ける予定とのこと。
「新オフィスが落ち着いたら、リモートワーク化の枠組みを作り、離れてもみんなが忙しい時にカバーできるようにしたい」と話す。
業務のリモートワーク化が進めば、子育て中の女性にとっていっそう働きやすい職場となることは間違いないだろう。
心配性な人に向く事務職
DIY好きな人にいいリフォーム職
募集する一般事務、営業事務、リフォームの3職種で、どのような人が求められているのかを尋ねてみた。
「事務職については、大雑把な人より心配性の人が向いていると思います。不動産業はとくに金額の大きなものを買っていただくため、チェックを怠るとお客様にご迷惑をかけてしまいます。雰囲気的には明るい人、コミュニケーションが取れる人がいいですね。業務に支障がない程度にお話し好きな方というか」
「リフォーム職については、オフィスで見積書を作ったりもしますが、現場に行って細かな器具の交換やお部屋をきれいにする作業を行います」
「今一人女性社員がいて、最初は内勤をしていたのですが、体を動かしていたほうが性に合っているとリフォーム担当に変わったんですよ。変化がありますし、DIY好きな人にはいいと思います」
仕事は経験してみないとわからない。入社後、希望して業務を変わることができる自由度の高さも、この会社の魅力かもしれない。
不動産情報のネット化
システム化で女性が支える会社に
不動産会社といえば、カウンターの奥にスタッフがいる店舗系のレイアウトをイメージしがちだが、こちらは完全事務系のオフィスイメージ。
開放的なガラスドアを開けると、中は応接スペースと事務スペースで構成されている。業務内容について角田さんに聞いた。
「業務は、投資用ワンルームマンションの売買と管理がおよそ9割を占めます。売買はマンションを買い取ってリフォームして売る、不動産のリサイクルショップをイメージしてもらうといいかもしれません」
「管理には、賃貸管理と建物管理の大きく2つがあります。現在うちでは約1000戸のマンションを管理していますが、不動産の管理業務は細やかな視点を持ち、正確な仕事をする女性にこそ向く仕事と感じているんですよ」
現在、同社の従業員数は12名で、うち9名が女性。
角田さんは20年ほど前からいち早く女性社員の採用を積極的に行ってきた。
営業職として採用したこともあるが、当時はお客様と直に会う営業スタイルが一般的で、時間は不規則。女性には合わないことから、営業事務に移ってもらうこともあったという。
今は時代が変わり、ネットの情報を見てお客様や仲介業者から問い合わせがある営業スタイルが主流。情報を整理して発信したり、賃貸物件を管理したりと、オフィスの中でパソコンを使ってする仕事が多くなり、女性の活躍できる素地ができてきた。
男性社員の採用も行ってはいるが、独立などを理由に離職する方もおり、長く続けて働いてくれるのは女性のほうが多く、15年以上勤める女性社員もいる。
「今は電話営業や飛び込み営業は一切なくて、基本的に顧客管理がメインです。最初は女性で大丈夫かという声もありましたが、今では信頼関係ができて、お客様との電話や実際に訪問する際にも女性のほうが柔らかい印象を持ってもらいやすいため、お客様にも好評なんですよ」
社会人としての知識が身につき
資格取得も目指せる不動産の仕事
「不動産の仕事をすると、契約書を見られるようになるなど、社会人としての知識が身につきます。電話応対も上手になるので、実家に帰省したらご両親に驚かれたという話もよく聞くんですよ。究極をいえば、お客様にとって一生に一度か二度の買い物である商品を扱う不動産業の魅力は、ダイナミックだし、醍醐味があることですね」
角田さんは新卒で大手不動産会社に入社し、トップセールスマンとして活躍後、28年前にエースコーポレーションを設立した。
会社員時代はまだ業界環境が厳しく、それこそ夜討ち朝駆けで働いた。
きつい経験をしてきたからこそ、自社の社員には無理をさせたくないと語る。
「今の若い人はお金を稼ぐより、自分の時間がほしい人が多いですよね。僕はそれでいいと思うんです。僕自身3人の子どもがいるので、子育ての大変さはよくわかっています。家庭優先は当然のことだと思うし、女性社員に支えられている会社としてそこは最大限配慮しています」
「仕事に関しては、真面目な方でパソコン入力さえできれば十分です。あとは、女性社員がマンツーマンで教えていきますので」
同社には、宅地建物取引主任者や保険代理店の資格を持つ女性社員もいて、意欲のある人には勉強法を教えるなど指導しているとのこと。資格を取りたい人にもいい職場といえそうだ。
最後に、新オフィスの構想について聞いてみた。
「すっきりとしたオフィスにして心機一転を図りたいですね。天神の真ん中で場所があまり変わらないので、社員にとってもお客様にとってもいいと思っています。今もそうですが、お客様にとって入りやすいようガラス張りの入口にして、風通しのいいオフィスにするつもりです」
応接室には、クリスマスのかわいらしい飾りが。
聞けば、角田さんが自らディスプレイしたとのこと。
女性社員が支える不動産会社として、女性が長く働ける職場づくりに注力するエースコーポレーション。
移転を機に、その勢いにも拍車がかかりそうだ。