即戦力と気負わない
ママになって変わった
働くことへの向き合い方

「自分らしく働きたい」という思いはあっても、子育てや介護など、様々な理由で仕事に割ける時間が限られ、選択肢が少ないと感じている方も多いと思います。
他の誰かの「働き方」を知ることは、自分らしく働くための選択肢を増やすヒントになるかもしれません。
この記事が、あなたの背中を押すきっかけになればいいなと願っています。

お話を聞かせてくれた方

白水陽子さん

白水陽子さん

40代。5歳の男の子と女の子(双子)の子育て中。
新卒でアパレル販売に従事。
その後、人材派遣会社・フォークリフト販売会社にて営業職を、結婚後は派遣社員として半導体メーカー・電力会社にて事務職を経験。
妊娠を機に退職し、主婦として約2年。
その後、再就職にて損害保険鑑定会社に入社して3年。現在は主に鑑定書や請求書の作成業務を行う。

なぜ、再就職しようと思ったのですか?

双子育児が予想以上に大変だったんです。
850グラムと1085グラムという超未熟児で生まれたんですが、3ヵ月の入院のあと、家に帰ってきて泣いている姿を見るだけでも「病気なんじゃないか」と不安になったり、負い目に感じてしまうこともあって。

お互いの両親にもサポートを依頼できる環境でもなく、自分で苦しんでしまったんですよね。子どものために何もしてあげられていないなとか、自分の中でイメージしていたようには上手くいかないことが多くて。子どものためにも私のためにも「このままじゃダメだ」と考えていたんです。

家で育てるよりも誰かの手を借りて子育てをして、自分も働きに出た方がいいんじゃないかと考えていたところに、再就職支援のイベントが開催されるというチラシを見つけて、これだ!と思いました。

双子ママの白水さん

実際に働いてみて、大変だったことはありますか?

再就職した当初から、会社には私の希望に寄り添っていただき、月・水・金の週3日、1日5時間からのスタートでした。しかし、間が空いてしまうので、業務の流れを覚えることが難しかったです。上司との間でも、どこまで教えたかという行き違いが何度もありました。
教わったことを細かくメモに残しても、意志疎通が出来てない部分が多かったので、今では業務の間にすべてをマニュアル化して残すようにしています。

一日のスケジュール

未経験の業界への再就職、いかがでしたか?

全く知識がなくても入社はできるし、会社からも大丈夫とは言われていましたが、私にとって損害保険についての知識は本当にゼロに近い状態だったので。
初めのころは、通勤時間の20分を勉強時間にあてていました。
会社から言われたわけではないのですが、どうやったら活躍できるんだろうと思ったときに、保険の知識を身につけた方が円滑に進められるだろうなと考えたんです。

終業後も「どうやったらうまくいくんだろう」とそのことばかり考えていて、『損害保険登録鑑定人』の資格試験の問題集を解いたりもしていました。国家資格なので、そんな簡単にとれるものではないというのは分かっているんですけどね。

今思うと、「社会人経験のあるママ人材」として採用されたんだから、早く活躍しなきゃと気負いすぎていたところもあったのかもしれません。

ここまでお仕事を続けられた理由や、モチベーションは?

いいことばかり言うつもりではないんですが、寄り添ってくれている会社には感謝でしかありません。入社前の面接などでPRするために見せる自分と働いてからの自分って、やっぱり違うじゃないですか。

入社してからもう3年経つんですが、ここまで継続して働かせてもらえているのが本当にありがたいことだなと感じています。
ずっと会社に感謝の気持ちを持っていることが継続できている理由かもしれません。

働き始めてよかったなと感じることは?

自分の時間が確保できるようになったこと。それと、社会との接点が持てたことが嬉しく、自信にもつながりました。

子どもたちも、先生やお友達といった、たくさんの人と関わることでいろいろな言葉を覚えてきたり、絵を描いてきたり。たくさんの刺激を受けて成長していることが私の喜びにもなっています。

また、主人も私が仕事をしていることを応援してくれていて、社会人として仕事の話を主人とできることも良い刺激になっています。

白水さんとご家族

再就職からお仕事を継続してみて感じたこと、気づいたことなどはありますか?

再就職で入社というと、今までの経歴や経験から『即戦力』としての活躍を意識されると思います。
しかし、経験はあるけどブランクがあるので、新卒のように一からスタートするつもりで入社した方が、企業側も入社する側もお互いひずみが生じないのではないかなと思います。

これから働きたいと考える方にメッセージをお願いします。

その仕事をやめてしまうともう後がないかのように苦しんでいる方が多い気がするんです。
ご縁があって入ったし、良くしてもらっているから何とか踏ん張らなきゃって。

もちろん、生活のためや子どものため、自分のためなど、仕事を続けないといけない理由はいろいろあると思います。
私自身も切り替えがうまい方ではなかったので、悩んでしまうこともありました。

だから、大丈夫よ!って言ってもらった方が自分の心がちょっと楽になると思うんです。

「いつ辞めてもいいのか、じゃあ明日も頑張ろう!」みたいな。

やっぱりママになってから働くって、今までとはちょっと違いますよね。
子どもと一緒に自分自身も成長して、仕事への向き合い方が変わっていく。

ママさんって、皆さんすごい責任感が強い方が多いから、意外と何とかなるから大丈夫だよ!ここまでやってきたやん!というスタンスを持っていてほしいな。
これ、悩んでいる当時の自分にも向けているかもしれないですけど。

編集後記

白水さんのお話を聞いていて、どんなに働きやすい環境が整っていても、子育てをしながら自分らしく働くためには、試行錯誤が必要なのだと改めて感じました。しかし、その試行錯誤を、苦しんでまでする必要はない。

守るものができ、なりふり構わずアクセルを踏めなくなったことをマイナスとしてとらえるのではなく、自分のできる範囲で、無理をせずにできることを探していく。
子供の成長に伴って「働き方」もその都度アップデートしていくことが、子育てをしながら笑顔で働き続けるための秘訣なのかもしれません。

取材・執筆

十時育子
1986年生まれ、福島県出身。24歳で第一子を出産後、7年の主婦生活を経て再就職した経験から、同じように「働きたい」と考える方の助けになりたいと入社。SNS発信やライティングを担当。 小5小2男子、年長女子の母。毎週のニチアサが一番の楽しみ。