自分の直感を信じて
子育てしながら「やりたいこと」を
実現するための転職とは?

「自分らしく働きたい」という思いはあっても、子育てや介護など、様々な理由で仕事に割ける時間が限られ、選択肢が少ないと感じている方も多いと思います。
他の誰かの「働き方」を知ることは、自分らしく働くための選択肢を増やすヒントになるかもしれません。
この記事が、あなたの背中を押すきっかけになればいいなと願っています。

お話を聞かせてくれた方

福山 美紀 さん

30代。小学2年生(7歳)と年中(4歳)の男の子の子育て中。
新卒で飲食サービス業の企業に入社し、新店オープンの際のスタッフのトレーニング業務などを行う。
結婚を機に退職し、不動産会社で営業事務を経験。6年の在籍期間中に産休・育休を取得しながら2人のお子さんを出産し、宅建の資格などを取得。
その後も不動産業で保険担当業務や、土木関連の企業で総務として出張や社員寮の管理など様々な業務を経験をされたのち、2023年3月に現在勤める型枠工事を専門とする会社に未経験ながら人事として入社。主に採用に関わる仕事を行っている。

現在のお仕事について教えてください。

現在は型枠工事を専門とする会社で週5日、9時〜17時勤務の正社員で「人事」として働いています。
具体的には、求人票に出す情報を整理したり、もうすぐ本格的になる採用活動を前に、訪問する高校のリストやマップを作ったり、会社の紹介資料を作ったり。会社を知ってもらうための「広報」の役目も担っています。

それとは別で、型枠大工の仕事を知るために現場を見学したり、実際に業務で使うベニヤ板の仕分けや清掃などを体験したりもしています。

新卒で飲食サービス業を選ばれたきっかけは何ですか?

大学時代はずっと飲食業でアルバイトをしてたんです。

飲食業って楽しいな、自分に合ってるかもなって感じていた時に、ある企業がたまたま九州に初出店で店舗を拡大するという話を聞いて興味をもちました。

それと、当時その会社で採用担当として人事をしていた方がすごく熱い方で、人柄に惹かれたんです。今思うと、そのときから人事の仕事に憧れはあったのかもしれないですね。ただ当時は自分がなれる職業だとは思っていませんでした。

就職する企業を選ぶ上で大事にしていることは何ですか?

インスピレーションと言ったらすごい曖昧になっちゃいますが…。でも、結構自分の直感を信じるようにしていて。
今の会社も、上司と面接で会話をしたときに「この人と仕事がしてみたい」って思ったのが決め手だったんです。

これまでの転職活動でも、ホームページなどネットの情報では良いと思っていた企業が実際に会って話してみたら違和感を覚えたり、自分に合うかどうかが分かるほうだったので、合わないなと思ったらお断りはしていましたね。
「この人と一緒に働きたい」とか、「この会社で働いてみたい」というのを大切に判断しています。

上司の山口さん(右)と

これまで、転職を決意するタイミングってどんな時でしたか?

働き始めて1年半くらい経つと、だんだん仕事のことも会社のことも腑に落ちてくるというか、慣れてくると思うんですよね。そういうタイミングで「私はここであと5年働いたらどうなるか」ってイメージするようにしていて。そこで憂鬱になったり良いイメージができないのであれば、転職を意識しているような気がしています。

せっかく働くのであれば、私は「やりがい」を感じていたいし、自分の成長にも繋がるので、転職という決断に踏み切れるんだと思います。

転職を決断するときに、迷いはありませんでしたか?

新しい場所が決まってしまえば案外さっぱりしてるので迷いというのはなかったですが、申し訳なさはありました。みなさん忙しい中で自分の業務を引き継いでもらうので。
なので自分ができる限りのことはやりたいなと、マニュアルや文字に残したりはしていました。

働いてて大変だったこと、やめたいと思うことはありましたか?

たまに疲れるとすべてを投げ出したくなりますけど、、(笑)

ご飯作りたくないときは帰りにスーパーに寄って子どもたちに「好きなお惣菜かっていいよ!」って言ったり、手を抜けるところは抜いてって感じで乗り切っています。

お子さんを妊娠した時、仕事をやめようとは思わなかったですか?

実は、専業主婦になるということも頭に浮かんでいたんです。そんなときに母から「正社員を続けられるなら、続けられるところまで頑張ってみたら?」と言われて。

私の母は「女性は家庭に入る」という時代的なものもあってか、働きたくても働けなかった。そんな母の言葉もあって、とりあえず育休をとってみよう!と仕事を続けることにしました。

パートナーも働くことを理解してくれていますか?

主人は私が子どもの送迎や休みに対応できるのであれば、好きな仕事をしていいよって言ってくれています。なので、その範囲内ではありますが、挑戦できることはしたいし、自分のやりたい仕事がしたいなっていう想いでキャリアを重ねてきたという感じです。

他には、例えばご飯もレトルトでもなんでもいいよと言ってくれるし(笑)
洗濯物を干したり、子どもをお風呂に入れてくれたりもします。

仕事をしていてよかったと思うことはありますか?

育休中とかって、人と話す機会がないじゃないですか。
でも、働いて外に出ると否応なしにいろんな人と話せますよね。色々な人と関りが持てるほうが私はイキイキできるのかなって。

あとは仕事で離れている時間があるからこそ、子どもの話をよく聞けたり、やさしくできたりするのかなって思います。

忙しい日々の中、お子さんとの時間ってどのように取っていますか?

まずは送迎の車の中ですね。たいてい兄弟でどっちが先に話し出すかで揉めるんですよ(笑)
あとは夕食のときや、一緒に布団に入ってから子どもたちが今日あった嬉しいことや楽しいことを話してくれます。
主人と子どもたちは、お風呂の中で良く会話をしているみたいです。

これから働きたいという方に向けてメッセージをお願いします。

私自身これまで何社か経験していますが、ありがたいことに子育てに理解のある企業さんはあると思うので、働いてみたいという気持ちを「子どもがいるから」「家庭があるから」という理由で諦めてほしくないですね。

例えばうちの子はずっと保育園に通っていたので、小学校に入って初めて働いてないお母さんもいるという事や、「夏休みに家にいる子がいる」という事実を知って『いいな〜』と言われたことがありました。でも、ずっと私が働いていることが当たり前だし、仕方ないってことも分かってるから、その一度っきりで。

学童も保育園も19時まで延長を頼んでいますが、もうそれで生活のリズムが出来上がっているからか、行きたくない!ということもないし、むしろ、迎えが早いと延長のおやつが食べれないからか、「なんで早いの!」って怒られることもあるくらいです(笑)

最初はすごく勇気がいるし、大変なこともあると思うんですが、ぜひ一歩を踏み出してもらえたらなって思います。

転職に迷う方も多いと思うのですが、そんな方にメッセージがあればお願いします。

私自身は転職して良かったと思っています。新しい企業で働くことによって新しい知識を得られたり新しい人に出会えたりと、経験値を積んでキャリアアップや成長にも繋がったので。

ただ、迷われている方は慎重な方だと思うし、実際は入社してみないと分からないところもありますよね。
子育てをしながらの新しい仕事、新しい環境ってだいぶ大変ですし、私なんて入社して一週間はずっと食事はテイクアウトでしたし(笑)

その人のタイプによるので全員に「転職いいよ!」とは言わないけど、私自身は転職でキャリアアップしたかったという想いが根底にあったのかもしれないですね。なので、転職に対して全く後悔はしてないです。

編集後記

「転職」という言葉が頭に浮かんでも、「自分のスキルで通用するだろうか」「本当にこの判断が正しいのだろうか」となかなか一歩を踏み出せない方も多いと思います。

福山さんのように「転職」をキャリアアップや自身の成長とポジティブにとらえて、まずは動きながら考えてみるというのも、選択肢を増やすひとつのきっかけになるかもしれないですね。

前向きな考えをお持ちで、仕事のことやお子さんとのエピソードを楽しそうに話す福山さんへの取材を通して、「もう少し肩の力を抜いて考えてもいいのかも…」と働くママとしての迷いやモヤモヤが少し晴れたような気がしました。

取材・執筆

十時育子
1986年生まれ、福島県出身。24歳で第一子を出産後、7年の主婦生活を経て再就職した経験から、同じように「働きたい」と考える方の助けになりたいと入社。SNS発信やライティングを担当。 小5小2男子、年長女子の母。毎週のニチアサが一番の楽しみ。