未経験からアプリ開発にチャレンジ
転勤族だからこその「働く」ことへの向き合い方

「自分らしく働きたい」という思いはあっても、子育てや介護など、様々な理由で仕事に割ける時間が限られ、選択肢が少ないと感じている方も多いと思います。
他の誰かの「働き方」を知ることは、自分らしく働くための選択肢を増やすヒントになるかもしれません。
この記事が、あなたの背中を押すきっかけになればいいなと願っています。

お話を聞かせてくれた方

藤野澄子さん

藤野 澄子 さん

40代。小学4年生(10才)、年少の男の子(4才)の子育て中。
新卒でマーケティング・調査会社に入社し、Webプランナーとして勤務。結婚を機に一度離職するも、3か月の離職期間ののちに再就職。
その後はパートナーの転勤・転居のたびに退職と転職を繰り返すが、雇用形態を変えながら、主にWEB制作やWEBマーケティング関連の仕事を続けてきた。
2年ほど前から現在の勤務先である福岡市内のIT企業へ入社。未経験の分野であったローコードツールを使った業務用アプリケーションの開発に携わる。フルリモート・フルフレックスという働き方で、時短正社員として勤務中。

今回お話をうかがったのは、ローコードツールを使った業務用アプリケーション開発業務に未経験からチャレンジしたという藤野さん。
転勤族、さらにはWEB業界ならではの働き方について。そして、子育てをしながらどうやって未経験の分野の知識を身に着けたのか、話してくださいました。

子育てをしながらも、ずっと仕事を続けてこられたとお聞きしました。

もともと専業主婦は合わないんです。
実は結婚当初、主人の転勤などを理由に離職して、3か月ほど専業主婦も経験したんですが、その間も仕事がしたくて仕方なかったので(笑)

転勤族ならではの苦労などがあれば教えてください。

その後も主人の転勤のたびに、5回ほど転職を繰り返してきました。
転勤が決まったら、その翌日には「辞めます」と会社に言わなきゃいけない。自分の意志ではなく辞めなきゃいけないってつらいんですけどね。
なので、「この会社にいる間に自分が貢献できることは全力でやっておこう」という意識は常に持っています。

転勤族でも働き続けられた理由は?

「この会社にいる間にできることはやっておこう!」という意識のおかげか、会社から「引っ越しで辞めるくらいなら、業務委託でもいいからリモートでやらない?」と声をかけていただくことが多かったんです。なので、ずっと正社員というわけではなく、業務委託や個人事業主など、雇用形態にこだわらずに働いていました。

今の会社に入社する前も、業務委託として1日1時間ほどリモートで仕事をしていました。
仕事がずっとWEB制作やマーケティング関係の業務だったので、リモートでもやりやすかったというのもあると思います。

現在、時短正社員として活躍されている藤野さん。
個人事業主や業務委託ではなく、会社に所属してみようと考えた理由は?

転勤族なので、「いろいろな場所でいろいろな会社に就職して、今、自分が住んでいる場所の人と働いてみたい」というのを、働く上での一つのテーマとして持っているんです。せっかく引っ越してきたから、福岡の企業で働きたいなと。

所属会社のオフィスでほほ笑む藤野さん

会社に所属することで、チャレンジの幅が広がる?

個人事業主や業務委託として業務の一部を依頼されるかたちだと、自分ができますと伝えているボールしか来なくなるんですよね。
企業に入ったら、自分が考えてなかったようなボールが飛んできて、新しいチャレンジができるじゃないですか。

それに、長いスパンで会社にいるみんなと仕組みを作ったり、チャレンジができる。
答えがない中でみんなで作っていくということを、この引っ越してきた福岡の会社でやりたいと思ったのが大きかったですね。

未経験からの業務。勉強時間はどうやって確保されていたのですか?

私は座って勉強してなかったですね。スマホで5分間だけ仕事に役立つ動画をYouTubeで見るとか、子どもの送迎の車の中で音声を聞くとか隙間でやっていました。

夜にやろうと思っても、寝かしつけと一緒にだいたい寝落ちしちゃうんですよね。実は過去には睡眠時間を削って、無理な計画を立ててできなかったことが多々あるんですけど、ちゃんと寝ないと翌日パフォーマンス落ちるんですよね。

色々と試行錯誤した結果、私の答えは「睡眠大事!」ですね(笑)
無理したら続かないし、ママのインプットって「やめない」っていうのがポイントだと思います。

一日のスケジュール

なるほど。でも、周りと比べて「もっとやらなきゃ」と焦ってしまうかも・・

例えばキッチンに洗っていないお皿が10枚ある。以前の私は10枚洗いきらなかったら「皿洗いした」って言えなかったんです。でも今は、1枚でも洗ったら「皿洗いした」って言える。

私もそうだったんですけど、できないことに罪悪感を持つママってすごく多いんですよね。でも、5分勉強できてるじゃん!1枚でも皿洗ったじゃん!って自己肯定感を高めるというか。

ママのスモールスタートって勉強しようと思ってパソコン開いたらOK!とか、そういうのでいいと思うんです。そうすると、達成したことが増えていくじゃないですか。
急にはできないかもしれませんが、罪悪感を持たないはキーワードかもしれないですね。

これはやっておいたほうがいいよということはありますか?

なにか「面白そう」とか「気になること」があったら、とりあえずやってみるっていうのは結構大事かなと思っています。

私の場合、スマホアプリの画面デザインを作るワークショップにプライベートで参加したり、RPAのオンライン講座に参加したことがあったのですが、まさに今の仕事を始めるときに「あ、きた!つながった!」って思いました。

種まきじゃないですけど、その時はちょっとしかできなかったり、すぐに仕事につながらなくとも、5年後10年後にそれがバババッとつながることも多いと思うので。
あまり損得など考えずに自分の心に従ってやってみるというのがいいかなと思います

社内にママ社員が一人だけと聞きました。ロールモデルがいないのは大変ではないですか?

よく「ロールモデル」という言葉を聞きますが、実は、ロールモデルってそもそもないんじゃないかなって思うんです。これだけ状況が目まぐるしく変わっているので、その時その時で柔軟に、自分を変化させられる力のほうが求められているんじゃないかなと。

2人の男の子のママである藤野さん

時代がママに合ってきた!?

私も時短勤務で時間に制約がある中で働いていますが、子育てって子どもを相手に自分でコントロールできない事態が次々発生する中で、臨機応変にこなしていくじゃないですか。

まさに子育てで培われるスキルが、今の時代に求められているスキルだと思うんです。ママの日々やっている感覚に時代が合わせてきた!寄せてきたな時代が!!って(笑)
リモートや業務委託などの働き方の多様化や、パパ社員の育休取得が話題に上がってきている事など、ママが働きやすい環境に理解が増えてきたなと感じます。

特にIT業界はこれから広がっていく業界なので、ママにとってはヒットするところが見つかったら、働き先としてはすごくいいんじゃないかと思いますね。

編集後記

働くことに対して前向きに、楽しそうに語ってくれた藤野さん。
藤野さんのような考え方ができたらいいなと思いつつも、やはり時短勤務という働き方に引け目を感じてしまったり、一人で悩んでしまうという方も多いかもしれません。

実はインタビュー中、藤野さんはたびたび「自分で失敗したときに思ったんですよね」と、ご自身の中で何度も挫折と呼べるような経験があったのだと話してくださいました。

すぐにマインドセットができなくてもいい。今、「これでいいのかな?」と悩んでいても、何年か経ってふと腑に落ちる瞬間が来る。無駄な経験じゃなかったと思える日が来る。
正解が分からないながらも、悩みながら日々を積み重ねていくことが決して無駄ではないと、そして、小さな一歩でもチャレンジすることに意味があるのだと、背中を押してもらった気がしました。

取材・執筆

十時育子
1986年生まれ、福島県出身。24歳で第一子を出産後、7年の主婦生活を経て再就職した経験から、同じように「働きたい」と考える方の助けになりたいと入社。SNS発信やライティングを担当。 小4小1男子、年中女子の母。毎週のニチアサが一番の楽しみ。