普段お米をどのくらい食べますか?
食の欧米化が進み、「朝はパン食、夜もほとんどお米は食べません」という人が増えてきているように感じます。
現在、1年間に1人が消費するお米は50kgほどだそう。1962年をピークに約半分にまで減っています。
「だんだん減っていっているのは感じていますし、何とか生き残っていかなきゃいかんなと思っています。消費もそうですが、生産者の減少にも危機感がありますね」
そう語るのは、佐賀県唐津市に本社を置く株式会社唐房米穀の代表 横山さん。
「玄米からご飯まで」全ての行程を扱う企業である唐房米穀は、そのような大きな課題に向き合いながらお米の卸だけでなく、加工した冷凍ご飯の販売など消費拡大に向け様々な取り組みを行っています。
今回、徐々に拡大しているインターネット通販の運営を担ってくれる人を募集します。
家業から企業への転換期
博多から地下鉄、JR筑肥線を乗り継いだ終点、西唐津駅。そこからさらに、バスと徒歩で15分ほど行くと、住宅街に見えてくる「唐房米穀グループ」と書かれた青い建物。
横には倉庫と精米所が並んでいる。
今回、お話を伺ったのは、代表の横山さんと営業部長の梅本さん。
横山さんの父である現会長が53年前の1970年に唐房米穀を創業。6年前、現会長の後を継ぎ代表取締役に就任した。
「私たちはグループである、㈱唐房米穀、㈱ヨコヤマ、㈱ケングランドをそれぞれ兄弟で引き継いでいます。家業が企業に成り代わっている最中なので、良い面は引き継ぎながら、規模に合わせた新しい流れも作れたらいいなと思っています」
横山さん自身、一度、福岡県内で数年働いたのちに、戻ってきた。
唐房米穀は小さい民家の一角で、玄米を仕入れてそのまま売るところから始まった。やがて玄米を白米にするための工場が建ち、さらに現在は炊飯・加工し販売するまでをグループで行っている。
主力商品は、2007年に製法特許を取得している熟成米。
精米時、糠を最初2割ほどはがしたところで止め、はがれた糠もそのまま一緒にタンクの中で一晩寝かせる。この間に米内部で酵素が活性化、たんぱく質やでんぷんが分解を始め、アミノ酸や還元糖が増え続ける。そうして24時間後にはうまみや甘味成分をまとった熟成米になる。
「炊き立ては私たちでも熟成米とほかのお米はさほど区別はつかない。でも時間がたった時にその違いが分かるんです」
おいしいご飯を“直接”届けたい
これまでは、飲食店などへの卸が事業のメインだったが、3年前に『一粒庵』という店舗名でEC(ネット通販)をスタートさせた。
一粒庵では、熟成米に加え、自社で炊飯、加工したおこわやお寿司などを冷凍したものや最近は、シフォンケーキや米粉でできたグルテンフリーの麺なども販売している。
「卸先は飲食店、スーパーなど色々あるんですけど、いくら自分たちが想いを込めてお米を販売しても、お米って炊き方によっておいしさが変わってくるので、お店側がおいしく炊いてくれないといけないんですよね」
「自分たちで直接おいしいご飯を皆さんにお届けできたらいいなという想いもあって、ECでの販売を始めました」
EC販売は、コロナ禍も大きなきっかけになったという。
「自分の中では、もう少し先でいいかなとは思っていたんですが、梅本が『今やりましょう!』と言ってくれて。そこからですね」
営業畑からECの構築、運営へ
営業部長でありながらECを立ち上げ、現在も運営を担う梅本さん。
今回の求人は、梅本さんが本来の仕事である営業に力を入れられるようにという想いもあった。
梅本さんは元々、金融関係で働いていたが、リーマンショックの影響もあり35歳の時に退職。
「転勤族だったので、いつかは地元にという想いがあって、戻ってきたんです。自分の父が信用金庫に勤めていて、唐房米穀の会長と親しくさせてもらっていた関係で、『ここだったら間違いないよ』と勧められて13年前に入社しました」
ECをやりたいと最初に言い出したのは梅本さんだそうですね、と尋ねたところ、以下のような返答が。
「そうです。以前、ふるさと納税でうちのお米が返礼品に選ばれて、全国のお米ランキングで1位になったことがあったんです。それがきっかけで、今までBtoBの卸しかしてこなかったのが、ECでこんなに反響あるんだと。BtoC(直接消費者へ届ける)の破壊力を知ってしまったんです(笑)」
「当時は、国内での消費減少もあって、海外の販路開拓もやっていたのですが、コロナで身動きが取れなくなってしまって、だったらECやってみようかと」
まったく知識のないところから、一人で構築してきた梅本さん。外部の企業の力もかりながらなんとかここまでやってきたという。
『お客様に尽くす』という信念は営業もECも同じ
ずっと営業畑でやってきた梅本さん自身、顔が見えないECでの販売に不安はなかったのだろうか。
「ずっと営業の仕事しかしてきてないんですけど、ECでもやることは一緒です。『お客様に尽くす』。そこだけは崩さないようにやっています。営業の時もレスポンスは早く、を心掛けていて、ECでも受注してから出荷するまでに来る問合せは、なるべくすぐ返すように心がけていました」
スタートした当初は梅本さんがすべて一人で担ってきた。しかし、受注数の増加に伴い、受注や出荷は別のメンバーが行うようになった。
「始めた当初は僕一人だったので、問い合わせもなんでもすぐにやりたいから、休みだろうが夜だろうが関係なしにやっちゃってたんですけど、今はそれを他のメンバーに求めることはできないですしね。でも、その気持ちだけは持っている人に来てもらいたいですね」
ECサイトの運営だけにとどまらないアイデアを
今回募集するのはECの運営、管理の仕事。
自社サイトに加え、楽天やアマゾンといったECサイトの運営、管理も担ってもらう。
「例えば楽天の商品名をSEOを意識しながら変更したり、母の日などのイベントの際に画像の変更やキャンペーンへのエントリーをしたりが主な仕事になります」
「でも本当は、SNSの更新だったり、例えば、楽天にも動画を入れられるので、その動画を作ったり……。言い出したらきりがないですが、基本的に本人が『やりたい!』といったことはやれる環境ではあるので、なんでもチャレンジしてほしいですね」
「インスタなんかで、うちが卸している飲食店へ実際に食べに行って、それを紹介するなんて面白そうじゃない?食事代はもちろん会社が出すから。でも、そのうち、ランチだけねってなって、しまいにはライスだけよって(笑)」
インタビュー中にも、いろんなアイデアがどんどん湧いてくる。
ECの運営だけに限らず、SNSの運用や一緒に展示会に参加したり、商品開発のアイデアを出したり。やりたい!が叶えられる環境がそこにある、とお二人の話を聞いていて、こちらがワクワクしてきた。
リモートだからこその柔軟な働き方を
実際に、働くことになったら基本的にはリモートでの勤務となる。
「でも、やっぱり、月に1回でもいいから出社してもらって顔を合わせてやりたいなとは思っていますので、月一出社というのは念頭に置いておいてほしいですね」
ECの出荷は別の拠点で行っており、そこに行って実際のフローを見学したり、出荷の手伝いをすることも可能だとか。
「やっぱり、実際に見てもらうって大事なので。最初はそこの研修とかも考えたんだけど、実際に入社してから必要に応じてやっていこうと思っています」
ガラス越しに積まれた米袋が見える事務所で働く5名のうち3名は女性。営業部隊も何名かいるが基本的には外に出ているそうだ。
今回のリモートでの採用は、唐房米穀では初めての試み。
リモートでの採用に不安はないですか。
「不安は特にないですね。リモートなので、例えば子どもさんが熱が出たとか、用事があるとかっていうのも自由にしていただいてOKです。そのあたりはだいぶ柔軟だと思います」
実際、子どもが病気になった時やもちろん本人の体調不良などで、数日間休まなければならない場合も、梅本さんをはじめフォローできる体制は整っているそうだ。
では、どのような人が向いているのだろうか。
「まずは、食べることが好きな人がいいですね。やっぱりお米を扱っているので、そこが基本にあって、おいしい商品をどうやったらたくさんのお客様に届けられるかを常に考えてくれる人ですね」
「固定概念にとらわれずに、『これやってみたい』とか『こうやったら伝わるかも』っていうのをどんどん実行していってほしい。それが結局は会社のためになりますからね」
『お米』はその時々で、もみ、玄米、白米、ご飯…と色々変化をしていきます。
日本に住む私たちにとって、切っても切り離せない『お米』を、一番おいしい状態で届けたい。
玄米の販売からスタートした唐房米穀は、時代の変化に合わせて様々なかたちで私たちの元へひたむきに、でも柔軟においしいご飯を届けようと奮闘しています。唐津の地から全国へ。おいしいご飯を届けるべく、共にあなたのアイデアをかたちにしてみませんか?