人が生まれてから亡くなるまでには、七五三、成人式、お葬式など、さまざまな儀式やイベントがありますが、日常的に意識することは少ないかもしれません。
ただ、「終活」という言葉を聞くとどうでしょうか。ある年代以上の人にはとても関心が高まっているように感じます。
今回ご紹介するのは、そうした人生の大切な儀式に関わる事業を総合的に行う冠婚葬祭業の「株式会社サニーライフ」。北九州で地域密着の事業を展開、51年の歴史ある企業です。
大きな特長は8年前の女性社長の就任以来、女性活躍のための変革を次々に打ち出していること。2022年度には北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰で「市長賞」を受賞しています。
今回の求人は、中でも女性が多く活躍する①営業・イベント案内スタッフ、②電話案内、③事務スタッフ、④セレモニースタッフの4職種です。
24時間年中無休の冠婚葬祭業で「短時間正社員制度」を導入
取材に伺ったのは、JR戸畑駅近くの「株式会社サニーライフ」本社。
同社には、北九州市内に12の葬祭式場、法事会館、結婚式場(現在は経営移譲)があり、職種やその日の行事スケジュールによって働く場所は変わる。
お話を伺ったのは、代表取締役社長の大西さん、営業課長の宮田さん、セレモニースタッフの黒木さん、管理部係長の藤原さん、管理部主任の榎本さんの5名。
冠婚葬祭業は24時間年中無休で、男性中心のイメージが根強い。その中にあって同社は、男女比率5:5と珍しく女性が多い会社だという。
ワークライフバランスに力を入れるようになったきっかけについて、社長の大西さんに聞いた。
「夫である前社長が病に倒れ、主婦だった私が社長を引き継いだのが2015年。現場で聞いてみると、やはり休みが取れないという不満がありました。お客様に寄り添う儀式をするためには、女性の心配りや丁寧な仕事が不可欠。それなら “女性が働きやすい会社に変えなければ”と思ったんです」
今、同社では、子育てや介護をする人も働き続けられる「短時間正社員制度」を設けている。
正社員の定時は9時から18時で、実働時間は7時間20分。短時間正社員の場合は、9時から16時や10時から17時までなどの時短勤務を選択することができる。
パートの場合は、平日のみや週3日からの勤務も可能で、時間も3時間以上からOKといっそう緩やか。子育て中のママでも心配なく仕事復帰できるやさしさだ。
「休日についても“家族も自分も大切にしてほしい”という社長の思いが会社全体に波及し、女性はもちろん、男性も子どもの学校行事で休みを取ることが普通になっています」
「年間休日は他社と比較して遅れを取っていましたが、来期より第1ステップとして87日から96日に変更となります。また、より働きやすさを追求するために100日以上の休日計画を進めています。給与についても物価高騰の影響、また採用強化のために、最大で約10%という大幅ベースアップを今春に実施しました」
と笑顔で胸をはる管理部の藤原さん、榎本さん。
ほかに、全従業員の予防医療として勤務時間内でのワクチン接種、インフルエンザワクチンの料金補助も行っているとのこと。
女性目線の発想で会社を変えるウーマンズプロジェクト
今回取材に参加していただいたのは、大西さんが「女性目線の発想で会社を変えたい」との思いから2018年8月に立ち上げた女性チーム「ウーマンズプロジェクト」の現在メンバー。
このプロジェクトは、社内のさまざまな部門・拠点から女性社員が横断的に集まり、会社をよりよくするためのアイデアを出し合い、実現していくもの。
若い女性社員でも、自分の考えを役員にプレゼンする機会が得られるため、承認される喜びを感じ、仕事のやりがいにつながっているという。
こうした機会を全員に体験してもらえるよう、メンバーは毎年入れ替え制としている。
「メンバーの決め方も変えていて、メンバーが次にやってほしい人を挙げる推薦の場合もあれば、プロジェクトで実現したいことをアンケートで公募し、その内容で選ぶ場合もあります。ウーマンズプロジェクトからは、さまざまな成果が生まれているんですよ」
と話すのは藤原さん。
1期目に生まれたのが、百獣の王ライオンのマスコットキャラクター「サニーライフォン」。
ほっぺには太陽(サニー)、たてがみには北九州市の花、ひまわりをモチーフとし、北九州を中心に明るくがんばっていきたいという思いを込めたそう。
その後も、地域清掃、女性社員と社長のランチミーティング、儀式の大切さを伝える絵本づくり、フードドライブ活動、エコバックを制作と、女性視点の企画が次々実現している。
子育て中でも活躍できるセレモニースタッフのしごと
入社5年目、セレモニースタッフの黒木さんは、保育園に通うお子さんを持つお母さん。
営業のトップを務める母親とともに親子二代で働く社員だ。
「ご縁」を大切にする同社では、家族で働くケースも珍しくないのだそう。
「母は2時間のパートから始めて正社員になり、勤続30年。子ども時代に寂しかった記憶はないので、家庭も大切にする働き方ができていたのかなと。そんな母から働きやすいと聞いて入社しました」
「今は17時までの時短勤務で、ご葬儀で必要になる司会やアシスタント、食事のお世話係など外部スタッフの人を手配するのが主な仕事です。子どもが熱を出したと保育園から連絡があると、周囲の人が『上がっていいよ』と言ってくださるし、その後も『子どもさんの風邪、治った?』と声をかけてくださるんですよ」
社員間で日常的に家族の話題が出る、アットホームな企業風土がうかがえる。
「ウーマンズプロジェクトには2期メンバーとして参加しました。社長と話す機会も増えて、メンバーと仕事以外の話もできて。結果、自分の部署だけでなく、会社全体がよくなるように、と思えるようになったんですよね」
絆を深めながら、思いを実現していくことで、社員のモチベーションが上がっているようだ。
地域で人とのつながりを大切にする柔らかな営業のしごと
八幡エリア営業課長を務める宮田さんは、入社14年目。
以前は介護職で休みが取れず身体を壊したことから、時短勤務できちんと休める職場を求めて転職したという。
「子どもたちがまだ学生だったので時短勤務は助かりました。この仕事を選んだ理由は、人と接する仕事がしたいから。営業といってもノルマなどなく、日々の仕事は、自治会や老人会のイベントに参加してお手伝いをさせていただきながら、地域の方々とよい関係を築くことがメインです。人が好きで、人のために何かをして差し上げたいと思える人、労を惜しまない人なら向いていると思いますよ」
「昨今、とても仕事がしやすくなったんです。コロナ禍以降、お宅訪問はやめて見学会のご案内をポスティングする方向に変わったことや、『終活』の意識が高まり、人生の最期をどうしたいかを自ら考える方が増えているため、関心を持って話を聞いていただけます」
「互助会の会員様のご葬儀ではお手伝いに入り、一周忌までフォローします。お客様に寄り添って、気持ちが通じると、『ありがとうね。何も心配なく葬儀が済んだよ』とのお言葉をいただくこともあるんです。自分もやる気が出るし、会社の評判にもつながるので、やりがいを感じますね」
と穏やかにほほ笑む宮田さん。
思っていた営業のイメージより、ずいぶん柔らかく感じる。
いい人材に長く働いてもらいたいから私が切り拓く
女性の強みは粘り強いこと。管理部係長の藤原さんは、入社23年目。
前社長の時代からワークライフバランスの必要性を会社に提案してきた人で、ウーマンズプロジェクトのけん引役だ。
その名刺には、終活カウンセラー1級、厚生労働省認定1級葬祭ディレクター、グリーフケアアドバイザー、グリーフケア士といくつもの資格が並ぶ。
藤原さんが入社した頃の働きやすさは、育児中の女性にとっては「ゼロ」。
会社初の産休を取って復帰したものの、時短はなく、9時から18時まで勤務。
それが可能な保育園を探し、正月もGWも出勤。きつかったが、ここで辞めたら同じ思いをする人が出るからと、夫の協力を得てがんばってきた。
「最初にワークライフバランスの取り組みを提案したのは、14年前。先代社長の時代です。自分の経験から、これに取り組まないと長く働けないし、いい人材も来てもらえない。子育てだけでなく、介護でも必要になることだなと思いました。管理部に異動し、今の社長に再提案して、ようやく長年の思いが実現できたんです」
どのようにして長い道のりを切り開いてきたのだろうか。
「賛同し協力してくれる人を探すこと。ただ、場面ごとに協力者は変わってくるので、職場で信頼される人材にならないといけないというのが常にありました」
まるで開拓者のように努力を重ねてきた藤原さんの深い言葉に、感動。こんな女性が会社にいるのは、すごく心強いことだ。
家族も自分も大切にできる人、オンとオフがきっちり分けられる人
今、サニーライフではどんな人が求められているのだろうか。
社長の大西さん、管理部主任の榎本さんに聞いてみると。
「サニーライフにはうれしいことに、会社を大きくしようとやりがいを持って働く女性が多いんです。こういう業種で不謹慎ですが、心持ちは楽しく仕事をしてほしい。お客様のためにプロデュースをして、人生の最期を飾って差し上げる仕事ですから、地域の皆様からご縁をいただき、人と人のつながりを大切にできる方。そして、家族も自分も大切にできる方ですね」
と大西さん。
「社長は社員全員の誕生日に、その日その人がいる現場まで行って直接プレゼントを手渡すんですよ。仕事のことはもちろん、仕事以外のことにも親身になってくださる人が多い、家族みたいな雰囲気の会社です。人が好き、北九州が好き、そしてご葬儀は非日常の仕事なので、オンとオフがきっちり分けられる人がいいですね」
と榎本さん。
研修で基礎から学ぶため、未経験でも心配無用。冠婚葬祭の知識・マナーが身につくという。
拠点間の移動を伴う職種が多いこと、駅から遠い拠点が多いことから車で動ける人という条件はあるのだが、市内全域に拠点があるため、自宅に近い勤務地を選べるというメリットも。
北九州市内在住の人なら八幡と小倉の2つのエリアのうち、自宅に近いエリアで勤務できる。市外の遠賀や中間方面の人は八幡エリアなら通いやすく、門司であればその近辺でと、通勤に時間がかからないのはうれしい。全職種でマイカー通勤OK。小さなお子さんがいる人はお迎えの関係上、マイカー通勤が多いが、電車やバスを利用しての通勤も可能とのこと。
「仕事に家事に育児に、どれもがんばるって大変ですよね。悩みにぶつかることも多いはず。そんなときも一緒に乗り越えられるよう、風通しのよい会社にしたい。社員との距離は常に近くありたいと思っています」
と和やかに語る大西さん。
女性社員に大いに期待しつつ、一人ひとりを見守る眼差しには温かさがあふれている。
これからも大西さんのもと、さらに女性が活躍できる会社へと進化していくだろうサニーライフ。その一員としてあなたも一歩を踏み出してみませんか。